52ヘルツのクジラたち《町田そのこ》

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総合レビュー

内容
穏やか
ドキドキ
読み進めやすさ
スラスラ
ちょい難
本の長さ(体感)
短め
長め

本の内容・あらすじ

自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。

引用元:中央公論新社ウェブサイト

感想

この本は知り合いに勧められてずっと気になっていたところ、たまたま立ち寄った本屋で久々に冒頭の数行を立ち読みして購入。「2025年は読書を頑張るぞ」と思うキッカケとなった1冊めです。
杉咲花さん主演で映画化もされています。(私は見ていない)

読んでみてまず最初の感想としては、「貴瑚役に杉咲花さんめっちゃ合ってる!!」でした。

この本をきっかけに町田そのこさんの本を他に2冊ほど読みましたが、けっこう「虐待」とか「弱者」みたいなものがテーマというか、この本も内容自体は軽いものではないです。

ただこの著者の方独特の文体なのか、読んでいて暗いしんどい気持ちになるかんじはなかった。

この物語の主人公貴瑚(きこ)も、なかなかに壮絶な幼少期・思春期を送っていて、子を持つ親としては本当に腹立たしい描写もけっこうあります。

ただやっぱり、虐待やネグレクトをする親はこの世界に確実に存在していて、「私だったらこんなことしない」とか「普通だったらおかしいでしょ」とか、そういう”一般論”みたいなものが通じる世界じゃないんだな…ということをジワジワと実感させてくれました。

貴瑚が少年(ムシと親から呼ばれている、後に貴瑚が52というニックネームをつける)と出会ったときにも、ある瞬間少年の境遇に気付いたのに、周りは結局その少年の親や祖父、置かれている環境ばかりを見ていて、「虐待なんてまさか」みたいなかんじが終盤まで続くんですが、現実も結局こんなかんじなんでしょうかね。

スペックとか付属物とかじゃなくて、ちゃんとその本質とか当人を見て、自分の感覚を信じて行動した貴瑚の強さは、読んでいて心を動かされるものがありました。

テーマはちょい重めですが、最後は割と現実的なハッピーエンドなので、ちゃんと救いのある素敵なお話です。

映画も見てみたいな。

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